2010年4月15日木曜日

第一生命の上場とは?

昨日は、SG(スタディ・グループ)にてこの4月に上場した、第一生命の株式会社化について議論していました。

主な論点は

・相互会社の株式会社化とは何か
・株式の分配についての計算は
・株式の価値(純資産部分)は何から生じた価値なのか


です。

一つずつ考えていきましょう

1.相互会社の株式会社化

相互会社が株式会社化する際の一番大きな違いは、相互会社の形式が「契約者=社員」であり、「社員が経営に参画する」というということであったのに対し、株式会社は「契約者」と「株主」が分離し、経営にはもちろん「株主」が意見を持つ

ということが大きな変更点です。
よって株式会社化する際には「契約者=社員」に対して、社員権を喪失する補償として発行する株式を渡すという事になります。

2.株式の分配方法は

株式の分配は、契約者ごとの「寄与分」の大きさによって決められます。

「寄与分」とは

各社員の会社の純資産形成に対する貢献度のことであり、具体的には、
「社員の支払った保険料及び当該保険料として収受した金銭を運用することによって得られた収益のうち、保険金、返戻金その他の給付金の支払い、事業費の支出その他の支出に当てられた額を控除した額」から「保険契約上の債務を履行するために確保すべき資産の額」を控除した額

と定義されています。簡単に言うと保険会社の利益にどれだけ貢献してきたかという事を契約者単位で評価することになります。

要するに、保険会社の利益に貢献が大きかった人には沢山の株式を、そうでない人は寄与に応じて分配するという事になります。

ここで生じる疑問は

「これまで、俗にお宝保険などと呼ばれる過去の予定利率の高い保険は、寄与分は低く、結局もらえる株式が少ないのでお宝ではなかったのではないか?」

という意見も出ましたが、「寄与分」の計算実務がわからない(資料としても少ない)為にわかりません。

実務にかかかわった方でわかる方がいらっしゃれば、教えてほしいものです。


3.株式の価値(純資産部分)は何から生じた価値なのか

そもそも相互会社では、契約者=社員に配当を分配するので「純資産部分=内部留保」が存在しないのではないか?という疑問があります。


しかし、例えば第一生命の場合には、株式会社化の前に1兆円ほどの純資産がありました。

おそらくこれは、すべての剰余金を「契約者=社員」の配当へ回していたのではなく、長年少しずつ内部留保を蓄積してきたと考えるのが妥当だと思います。
(ほかの資料では、中途解釈者などが配当を受けずに会社内に留保されているものもあるようです)

それをそれぞれの契約者の「寄与分」に応じて分配しただけですので、今回の株式分配は、これまで配当されてこなかったものを契約者が取り戻したにすぎないとみることもできます。

以上、見てきたように相互会社の株式会社化には、疑問点やよくわからない点が多々あります。けれども今回第一生命の資料をみても正直、詳細についてはどこにも表現されておらす、正確なところがよくわかりません。

株式会社として、財務内容をディスクローズする前に、今回の株式会社化についての詳細をディスクローズしてほしいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿