今月号の証券アナリストジャーナルに「米国のリタイアメント・インカム政策」が掲載されていたので自分の為にも論点を整理
米国の退職所得制度は
・公的年金制度である社会保障年金(The Old Age,Survivors and Disability Insurance:OASDI)
・職域制度である確定給付(DB)と確定拠出(DC)制度
・個人レベルの制度である個人退職勘定(Individual Retirement Accounts:IRA)
でわが国の公的年金に当たるSocial Securityは、財政的に厳しいのはわが国同様
職域制度は、DBからDCへ移行しているがDCは従業員の任意参加の制度であるなど課題も多い
企業年金が適用されない従業員のために個人レベルではIRAがある(74年創設)
内訳は以下の通り(市場規模は14兆ドル)
個人のIRAが約4分の1を占める(これは日本にはない、近いのは確定拠出個人型か?)
DB、DC は割合が1:2
日本の場合には09年3月末でDB残高64兆円、DC残高4兆円で16:1
米国は全世帯(1億1680万世帯)の70%がIRAか職域年金もしくはその双方に参加している
米国の高齢者世帯(65歳以上)の所得区分を調査すると
2万ドル未満 43.4%
2万ドル以上7万ドル未満 44.2%
7万ドル以上 15.3%
日本ではこれまで退職所得の議論は多くなかったが、
・高齢者世帯での所得格差の拡大(特に低所得者層の増大)
・公的年金への依存率の高さ
・国民の貯蓄率の低下
などから今後議論の高まりが予測される
その中でもIRAの導入とDCの普及の議論は米国の辿った足取りが示唆となるだろう
という話でした
ここからは小屋の見解
・米国でもERISA法(74年)施行から市場の好調も寄与して拡大してきた。
昨年米国FP事務所を訪問したインタビューからも本格的な普及は90年代だと思う
株式高があってなお普及まで15~20年程度かかったことを考えると、今の日本の状況は頷ける
・日本の確定拠出年金は2001年施行なので、施行から10年経過
日本市場も低迷を続けているので、DCの本格的普及にはあと10年は必要なのでは
・しかし、資産運用は時間が大切なので10年後にDC運用に目覚めた人は残念ながら遅いと思う
やはり新入社員時点からDCを理解して運用を始めるのが大切
・法制度としてはマッチング拠出の法改正も検討されているようだが、IRAにあたるものも検討が必要
・一方で日本人は保険会社の提供する個人年金の加入率は約30%(マイボイスコム調査)
ここでの課題は、決して加入者は将来の必要額を試算して加入しているわけではないこと
日本の個人年金は確定給付型であることが多く、その運用利回りも十分とは言いがたい
・個人的にはDB、DCだけでなく自分で運用して個人年金(決して保険会社の提供する個人年金ではない)を形成していく姿勢が大事だと思う
FPやIFAはそれをサポートする職務
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