2011年2月28日月曜日

日本国債に対する評価

今日、web上で国債暴落説を俯瞰する - 鈴木和夫」という記事を見かけました。

ここで気になったのが次の内容

こうした大きな問題(日本国債の暴落問題)でありながらファイナンシャルプランナーと名乗る人からの処置の仕方、心構えなどは、あまり聞こえてきません。また、JGB大量保有者 (金融機関)もその声が同じく発していません。その理由として考えられるのは、同床同夢だからではないでしょうか。つまり、これまでの顧客が暴落予防のた めに外貨預金などへ走られたら、彼らの利益チャンスが薄れるからです。
と記述されていました。

ファイナンシャルプランナーの立場として反論しておきますと、ファイナンシャルプランナーが集うミーティングでは、いつもこの日本国債の話題が取り上げられます。
つい先週金曜日に開催されたFP学会の懇親会でも多くのFPが話題にしていました。

私も、過去のエントリーで何回も触れています。

国債は本当にリスクフリーか? 

日本国債市場の暴落に賭ける投資家たち

歴史を学ぶということ

来年度予算を見て考えた事

国の借金について


そして、我々のクライアントに対してもなるべく、それに備えるように、資産、通貨の分散を提案しているのが実情です。

ただ、多くの人々があまり真剣に、この国債暴落問題については考えていないんでしょうね。
話は聞いていただけるのですが、大半のクライアントはぴんとこないようです。

私も、いつ起こるのか?ということについてはお答えできませんが、起こりますか?と聞かれれば
それほど遠くないうちに起こる問題だと思ってます。

少なくとも、私のクライアントだけには備えてもらえるように働きかけていきます。

2011年2月25日金曜日

原油上昇のリスクヘッジ

チュニジア、エジプト、リビアと続く中東情勢の緊張から、原油価格の上昇が止まりません。

これはWTI原油のチャートです。

原油は、「ニューヨーク原油先物」「ブレント原油先物」「ドバイ原油・オマーン原油のスポット価格」が三大指標となっています。

ちなみに通常はWTIが一番高品質で高いのですが、ここの所の中東の情勢悪化で「ブレント原油先物」「ドバイ原油・オマーン原油」の価格がWTIを上回るという逆転現象も起きています。

原油市場の詳細はwikiを見てください。

その原油価格の上昇を嫌って、NYも日経も株価が下落しています。
 NY市場
日経225

何が言いたいのかというと、こうした原油などのコモディティが、リスクヘッジとして役立つという事。

ちなみに私の場合は、このコモディティETFを保有しています。
コモディティインデックスに連動するETFですね。

そうすると、株式だけを保有しているよりも全体のリスクは少なくなると思います。

特に、原油価格によって給料に影響を受けそうな職業

例えば、漁業、農業(ハウス栽培)、運輸業、電力業などの方々は、原油のポジションを持つことでサラリー減少リスクをヘッジできると思うのですが、なかなかそういう考えは乏しいんでしょうね。

どうも運用というと、資産を増やすことだけに焦点が当たりますが、どちらかというと、どのようにリスクを管理していくかという視点が必要なんだと思います。

2011年2月22日火曜日

マスコミの功罪

先週の土曜日に、「NPOキャリアフォーラム」というイベントにお招きいただいて、ワークショップを開催させていただきました。

ワークショップの目的は、NPO法人に就職、転職した後の自分たちの生活やライフプランについて考えてもらうきっかけを作ってもらうこと。
そうしないと、NPO法人に勤めても給与の低さから退職してしまう人も少なくないとか。

会場では、びっくりすることに中高の同期と大学の後輩にばったり出会いました。
中高の同期は、NPOに対するサービス提供サイトを作っているらしい。
大学の後輩は、NPOへの転職を検討しているらしい。

と意外とNPOは社会的に認知が広まっているんですね。

タイトルは、今回のNPOキャリアフォーラムの報道について

今回のキャリアフォーラムはNPO側も即戦力の採用という事で、どちらかというと参加者も転職希望者の社会人が多く見受けられました。

もちろん学生もいましたが、せいぜい3割には満たない数だったと思います。

しかし、これがマスコミを通すと情報が変わってしまうんですよね。


◆NHKニュース【NPOなどが合同就職説明会】(期間限定・動画あり)
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110219/t10014169121000.html

◆毎日新聞【NPOも選択肢に…学生ら「可能性広げたい」】
http://mainichi.jp/select/today/news/20110220k0000m040044000c.html

◆TOKYO MX【就職説明会 若者とNPOの「出会いの場」】(動画あり)
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201102196.html

 マスコミはあくまで
「就職氷河期の学生が、一般企業をあきらめてNPO法人も検討している」
 というストーリーが描きたいみたいです。

でも、実際にはそんな人はごく少数だし、インタビューしてもそんな人はいないんです。
NPO法人だって、そんな学生が来ても採用もできないしね。

NHKの記者も、あまりにそのテレビ局のストーリーと整合性が付かなくて頭を抱えていました。
でも最後は何だかんだ言って画にしちゃうんだよね。

要するに、マスコミの報道する内容は、かなり局のシナリオが入っていて実際の現場とは異なると思っておいた方が良いという事。

投資もそうです。実際に現場を見て判断しないと痛い目をみます。

2011年2月18日金曜日

まともな判決

今日は、注目されていた武富士の長男で専務の武井俊樹氏の最高裁判決がありました。

1330億円の課税処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は18日、課税を適法とした2審判決を破棄し、処分を取り消した。判決は「元専務は当時、海外を生活拠点としていたため課税できない」と判断した。(毎日jpより引用)

これは、武富士の会長長男が生前贈与を受けたことに対する裁判です。
当時、俊樹氏は1年の2/3程度香港に在住しており、当時の贈与税法では海外在住者が贈与を受けた際には贈与税の課税がされないとされていました。

1審の東京地裁では、あたりまえのように俊樹の主張が通った(国税庁の主張が通らなかった)わけです。

しかし、2審の高裁では、
住所の定義を「各人の生活の本拠」であり、生活の本拠とは「その者の生活に最も関係の深い一般的な生活、全生活の中心を指す」として、長男の住所は日本(東京・杉並の実家)にあった
として一転、国税に軍配を上げました。

びっくりしたのは、全国の税理士です。
「こんな判決が通るのであれば」と、これまでのタックスプランニングの常識を覆すような判決であったわけです。

そして、今日の最高裁判決
上記の通り、当時の生活拠点が香港と認められたようで大変安心しました。

先日の、生命保険金の年金払い二重課税の勝訴と言い、これまで裁判所は税務署の味方だと思われていましたが、ようやく裁判所も法に則った公平な判断をするようになったんでしょうか。

この流れは民主党政権の効果なんですかね?

2011年2月17日木曜日

G1サミット

ダボス会議は世界的にも有名ですが、日本でも3年ほど前からG1サミットという会議が開催されているようです。
グロービスの堀さんのブログで知りました。

日本の次世代リーダー層が集まって交流をしているんですね。

この中で印象的な言葉
グリーの田中社長

「今は、祖父からこう言われている様なものだ。『良和。実はなぁ、借金があるんだ。一生働いて返してほしい。もう一つお願いがある。今老後の心配があるの で、老後の費用も払ってくれ』、と。どう考えても、借金の返済か老後の面倒かのどっちかだと思う。しかも、『俺達は偉いから敬え』と言われ、挙句の果てに は、『最近元気が無いぞ』と言われているのだ」(田中良和)

全くその通り。
田中社長はお会いしたことありますし、同年齢なので同世代代表として応援しております。

将来的には、このサミットに呼んでいただけるようになりたいものです。

2011年2月15日火曜日

bloggerの変更

ちょっと気分を変えて、blogのデザインを変更してみました。

デザインは色々と簡単に変更できるみたいです。

シンプルですっきりとして、いい感じ。

2011年2月14日月曜日

びっくりしたこと

今日は、仲の良い社会保険労務士の先生とランチミーティングをしていたのですが、その会話の中でびっくりしたことがありました。

年金の制度や仕組みについて話をしていたのですが、私がいつもブログで触れているような年金財政や年金資金運用の話は、社労士の間ではほとんど話題になることも無いそうです。

年金財政の過去エントリー

年金の財政検証
年金の国庫負担
年金、医療、介護
そして年金受給年齢の引き上げ
年金インデックス
地方議員年金廃止へ


年金資金運用についての過去エントリー 

『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のガバナンス及び資産運用方針改善案』発表
不思議なこと

制度の仕組みや内容については詳しくても、制度の持続性についてまでは議論されていないということなんでしょう。

私からしたら、信じられない話でしたが一応ブログ読者の皆さんにもご報告を。

ウェルカムFPの手伝い

先週の土曜日に「ウェルカムFP研修」 のお手伝いで青山に行ってきました。

FP協会の東京支部では年に2回「ウェルカムFP研修」と題して、新しくFPの資格(主にAFP)を取得された方々に対して、導入研修を行っています。

研修とは言っても

・FPとしての心構え
・FPビジネスを展開している先輩FPのパネルディスカッション
・FP協会の説明

などを説明する会です。

第2部は懇親会も用意されていて、そこで新規加入のFPの方々と、われわれサポートの人で懇親をはかる時間もあったりします。

私も2年前に資格を取ったときには、この研修会でFP友達ができ、その付き合いは今でも続いています。

是非、東京支部所属のFPの方で、行った事のない方にはオススメします。

2011年2月9日水曜日

購入報告

前回のセミナー報告の後に

 ・中国海外発展(0688)
デベロッパーとしては中国1位、2位
長期的には上昇すると思う

・先思行(0595)
韓国サムソンやFAIRCHILDなどの代理販売
販売業とは他に投資事業も展開
今決算でサプライズ見込み

・中国安芯(1149)
セキュリティ装置メーカー
今後、炭鉱などの産業でセキュリティ装置の設置が義務化へ
市場が10倍に拡大する可能性
優遇税制の適用申請中

の3銘柄を買いました。

それぞれ2,000株、14,000株、8,000株です。
海外発展は長期保有目的ですが、残り2銘柄はとりあえず1年くらい決算みながら判断していきたいと思います。

2011年2月7日月曜日

中国株現地報告セミナー

昨日は、午後からグローバルリンクアドバイザーズの主催する、「中国株現地報告セミナー」に参加してきました。

たまたまですが、ブログ仲間の馬明さんと隣の席でした。

昨日の現地報告会であがった銘柄と戸松さんの簡単なコメント


・中国建設国際(3311)
中国海外発展のグループゼネコン
ゼネコン事業だけではなくインフラ投資も行う
今後はインフラ投資を拡大していく予定
政府との関係が強い会社で、良い案件に投資できそう

・AACアコースティック(2018)
携帯電話内部のスピーカー、マイクなど製造
iPhoneをはじめスマートフォンなどで採用

・中国海外発展(0688)
デベロッパーとしては中国1位、2位
長期的には上昇すると思う

・利邦(0891)
紳士服製造
内容に比較して割高

・信佳国際(0912)
NEC、panasonic、OKIなどのOEMメーカー
英、米、日、豪へ製品輸出
新規事業5つが今後の収益に寄与する可能性が大きい

・先思行(0595)
韓国サムソンやFAIRCHILDなどの代理販売
販売業とは他に投資事業も展開
今決算でサプライズ見込み

・中国無線(2369)
携帯電話メーカー
3G携帯では、中国市場のシェア10%
スマートフォンでは国内シェア1位
割安感

・中国安芯(1149)
セキュリティ装置メーカー
今後、炭鉱などの産業でセキュリティ装置の設置が義務化へ
市場が10倍に拡大する可能性
優遇税制の適用申請中

詳しくは、グローバルリンクのメルマガを取るか、私に個別に連絡ください。
私もこの中の銘柄で2つほど調べてみて、内容が良ければ買って見ます。

2011年2月4日金曜日

ベトナム話

一応ベトナム株ブログと銘打っていますので、ベトナムの話を。

1月にベトナム視察に行ってきた友人の株自己満足さんよりフィードバックを受けました。
詳しくは株自己満足さんのブログを見ていただくとして、私として思ったところ。

FPT(FPT情報通信)
HPG(ホアファット鉄鋼グループ)

を少しちゃんと調べてみる。

SCR(サコムリアル不動産)

知らない銘柄だったので調べてみる

総じて、ベトナム株の場合にはまだマイナーな銘柄よりもメジャーな銘柄の基本的な情報をきちんと
追っかけていく方が時間効率は良いのかなと思いました。

ベトナム市場は、世界の市場とは全く関係なく動くので、なかなか買いのタイミングがわからないんですよね。

もし、上の3銘柄を調べた時には、また報告します。

2011年2月3日木曜日

年金、医療、介護

今日は、家でずっと「年金」やら「医療」やら「介護」の諸制度に関わる調べものをしています。

正直、調べれば調べるほど気が重くなる作業です。

この国の社会保障制度はすごく立派なんですけど、このままではどの制度も持続性がなく、崩壊へ一直線です。

誰かが改革をしなければいけない(主に給付の削減)んですけど、誰が本気で手を付けるのでしょうか?

あるいは、誰も手を付けないまま沈んでいくしかないのでしょうか。
結局、財政再建はこの社会保障制度改革だという事ですね。

社会保障の給付と負担の見通し・・・低目の経済成長(資料:厚労省HP)

2011年2月1日火曜日

ジム・ロジャース講演会の様子

先日行けなかった、ジム・ロジャーズ講演会の様子がここで報告されてました。

http://www.twitlonger.com/show/8h3jcv

僕も結構コモディティ買ってます。

報告書記載の図

先程の報告書に掲載されていた図をいくつかご紹介。

日本の不動産資産の推移
バブル後に大きく減ってきている

不動産証券化の推移
リーマンショック後に激減
金融市場と不動産市場の相関図これは覚えておいた方が良いと思う

この2つの図は重要
2005年~2007年にかけて、不動産業界は非常に盛り上がっていた。
一部では「プチバブル」とも呼ばれて、不動産価格が大きく上昇してきた。
しかし、それはNOIの上昇によってもたらされたもので、不動産価格が相対的に高かったわけではないという「プチバブル」説に対する反証の図

不動産業界、金融業界、政策当局ふくめて再度よく考えたい図

J-REIT概況
不動産業に対する貸付割合
これは長期保有目的のファンドに対する貸付をどう評価するかにかかってくる
短期売買目的と長期保有目的に対するファイナンスはきちんと分けて考えたい


各国REITのリーマン後推移
 J-REITには課題も多くて、いまだに出遅れている
逆に言えばチャンスだ

不動産投資市場戦略会議

たまには不動産の話

年末に「不動産投資市場戦略会議」の報告書が出ていました。
国交省のHPで確認できます。
不動産・金融業の人は読んでおいた方が良いと思います。

内容は、J-REITを中心とした不動産証券化市場の活性化提言になっています。
抜粋すると下記の通り


1.デット市場の課題
○不動産価格の上昇期に貸出姿勢が緩み、下落期には抑制されている。
○ノンリコースローン等の出し手が特定の主要銀行に大きく依存している。
○従来は他業種に分類されていた「不動産を有するSPC向けの与信」が、
「不動産業」に計上されている(不動産向け融資の形式的増加)。
<対応策>
・ 不動産・金融当局による健全な市場発展へのコミットメントの発信
・ 公的機関の関与による長期のデット商品の検討(フラット10)
・ 金融機関における不動産証券化向け融資の業種区分の詳細化 等

2.Jリートの課題
○Jリートの長期の資金需要と銀行等の融資期間にミスマッチが生じている。
○資金調達手法が制約され、リファイナンスリスクへの対応が困難である。
<対応策>
・ 資金調達手法の多様化(転換社債の発行、自己投資口の取得等)
・ 内部留保の拡充 等

3.私募ファンドの課題(Jリート以外の不動産証券化の仕組み)
○投資適格不動産が市場に十分流通していない。
○既存不適格不動産、地方の住居系不動産など、収益が安定しているにも
かかわらず受け手がなく、証券化が停滞している。
<対応策>
・ 不動産特定共同事業法への倒産隔離の仕組みの導入
・ 不動産の開発・再生案件における資産流動化法の使い勝手の向上

4.不動産市場固有の課題
○国内外の投資家の投資判断に必要な不動産取引情報が不足している。
○賃貸借契約の期間が2~3年と短く、キャッシュフローが不安定。
○不動産鑑定評価の充実が必要。
<対応策>
・ 不動産投資市場の透明性向上の観点から不動産取引情報の提供やイ
ンデックスの整備を推進
・ テナントにインセンティブが働く定期借家契約の検討
・ 鑑定評価手法の改善、地価公示に係る情報提供の充実

5.税・会計上の課題 (投資ビークルの税制・会計的安定性)
<対応策>
・ 税制・会計制度改正の影響を受けにくいビークル制度の確立
・ J リート投資口の圧縮記帳制度(日本版アップリート)の創設の検討

6.不動産投資市場と金融の循環システムの課題(取組の縦割りの改善)
<対応策>
・ 国土交通省(不動産行政)と金融庁(金融行政)の検討の場の設置

7.その他の課題への対応策
・ 年金資金等の導入(公的年金等へのトップセールス)
・ 海外からの投資の促進(Jリート投資口の国内募集要件の明確化)

確かに、これだけの改革を行えばJ-REITを中心とする不動産市場には非常に大きなインパクトと改善がみられると思います。

ただ、心配なのはこのような議論はもう何年も行われてきたのに、一向に進捗しないこと。
僕が目にしているだけで5年くらいは同じような議論をしている感じです。

今回も委員の川口先生のブログをみると、早速不動産共同特定事業法の2012年度改正は見送られたようです。

早急に上記の対策が進むようであれば、まちがいなくJ-REITは買いなんですけどね。