2011年2月1日火曜日

不動産投資市場戦略会議

たまには不動産の話

年末に「不動産投資市場戦略会議」の報告書が出ていました。
国交省のHPで確認できます。
不動産・金融業の人は読んでおいた方が良いと思います。

内容は、J-REITを中心とした不動産証券化市場の活性化提言になっています。
抜粋すると下記の通り


1.デット市場の課題
○不動産価格の上昇期に貸出姿勢が緩み、下落期には抑制されている。
○ノンリコースローン等の出し手が特定の主要銀行に大きく依存している。
○従来は他業種に分類されていた「不動産を有するSPC向けの与信」が、
「不動産業」に計上されている(不動産向け融資の形式的増加)。
<対応策>
・ 不動産・金融当局による健全な市場発展へのコミットメントの発信
・ 公的機関の関与による長期のデット商品の検討(フラット10)
・ 金融機関における不動産証券化向け融資の業種区分の詳細化 等

2.Jリートの課題
○Jリートの長期の資金需要と銀行等の融資期間にミスマッチが生じている。
○資金調達手法が制約され、リファイナンスリスクへの対応が困難である。
<対応策>
・ 資金調達手法の多様化(転換社債の発行、自己投資口の取得等)
・ 内部留保の拡充 等

3.私募ファンドの課題(Jリート以外の不動産証券化の仕組み)
○投資適格不動産が市場に十分流通していない。
○既存不適格不動産、地方の住居系不動産など、収益が安定しているにも
かかわらず受け手がなく、証券化が停滞している。
<対応策>
・ 不動産特定共同事業法への倒産隔離の仕組みの導入
・ 不動産の開発・再生案件における資産流動化法の使い勝手の向上

4.不動産市場固有の課題
○国内外の投資家の投資判断に必要な不動産取引情報が不足している。
○賃貸借契約の期間が2~3年と短く、キャッシュフローが不安定。
○不動産鑑定評価の充実が必要。
<対応策>
・ 不動産投資市場の透明性向上の観点から不動産取引情報の提供やイ
ンデックスの整備を推進
・ テナントにインセンティブが働く定期借家契約の検討
・ 鑑定評価手法の改善、地価公示に係る情報提供の充実

5.税・会計上の課題 (投資ビークルの税制・会計的安定性)
<対応策>
・ 税制・会計制度改正の影響を受けにくいビークル制度の確立
・ J リート投資口の圧縮記帳制度(日本版アップリート)の創設の検討

6.不動産投資市場と金融の循環システムの課題(取組の縦割りの改善)
<対応策>
・ 国土交通省(不動産行政)と金融庁(金融行政)の検討の場の設置

7.その他の課題への対応策
・ 年金資金等の導入(公的年金等へのトップセールス)
・ 海外からの投資の促進(Jリート投資口の国内募集要件の明確化)

確かに、これだけの改革を行えばJ-REITを中心とする不動産市場には非常に大きなインパクトと改善がみられると思います。

ただ、心配なのはこのような議論はもう何年も行われてきたのに、一向に進捗しないこと。
僕が目にしているだけで5年くらいは同じような議論をしている感じです。

今回も委員の川口先生のブログをみると、早速不動産共同特定事業法の2012年度改正は見送られたようです。

早急に上記の対策が進むようであれば、まちがいなくJ-REITは買いなんですけどね。

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