2011年3月30日水曜日

保証付変額個人年金保険

クライアントさんが「年金受取総額保証付変額個人年金保険」という商品を保有していました。

どうもリーマン前の平成18年とか19年あたりに銀行窓販などでかなり売られたようです。
一般の個人では全く商品について理解をしていない人が多いと思いますので、私の目線でみて解説します。
私は、別に保険会社の商品設計者ではありませんので、正確かどうかはわかりませんが。

例として、東京海上日動フィナンシャル生命の「三味一体」をとりあげます。

概要図です。
商品の主なポイントは

①最初に手数料4%を支払う

②死亡保険金額は最低「一時払い金額」同等、運用成果によって増えることはあるが減ることはない。

③3年以上経過した時点で、運用が目標金額に届けば、それで運用終了→年金受取or一括受取

④10年間経って運用成果が悪かった場合には、一時受取で一時払い額の90%を保証
年金受取(15年)で一時払い額と同額を年金で受け取れることを保証

というところです。

コスト面では
・契約初期費用 初期4%
・保険関係費用 純資産総額に対して年率2.55%
・資産運用費用 純資産総額に対して年率0.26985%
・年金管理費用 支払い年金額に対して1%
です。
当時はこれと類似の商品が、多くありました。

では、運用的な観点から(推測も含めて)解説します。

①契約初期費用4%ですが、これは運用の世界ではまずない手数料の高さです。
日本の多くの証券会社では、投資信託の手数料を0%~3%の設定にしているところが大半です。
つまり、非常に高い手数料だということですね。
この4%の手数料の多くは販売会社(銀行など)に販売手数料として流れる仕組みになっているのでしょう。

②死亡保険金額についてです。
例えばライフネット生命で60歳(男性)が10年間、1,000万円の定期保険に加入するとすると月額保険料は13,588円(年額で163,056円)と算出されます。
例えば、一時払い金額が1,000万円だとすると、年間の保険関係費用は、約255,000円になります。(純資産総額の2.55%)
実際には、(死亡保障-運用部分)の部分しか保障はないわけですので恐ろしく割高な保険契約費用を支払っていることになります。

③「3年以内に目標金額に到達しても運用成果を確保しません」
と謳っているのは、3年以上保有してくれないと、保険契約費用が稼げないので商品として成り立たないということでしょう。
また、年金受取では1%の手数料がとれますので、保険会社からすればできれば年金受取を選んでほしいところでしょう。

④10年間経って運用成果が悪かった場合には、一時受取で一時払い額の90%を保証
年金受取(15年)で一時払い額と同額を年金で受け取れることを保証

この部分ですが、ここは推測に過ぎませんが、特別勘定の運用は
ですので、このポートフォリオ構成で10年後の90%価格で先物の契約をしておくということも考えられます。
10年後で、このポートフォリオでマイナスになる予測は非常に少ないと思いますので、ヘッジコストも高くないのではないかと思います。
(ここら辺は専門でないので10年後のこのポートフォリオのリスクヘッジコストの感覚がわかりません)


次に年金15年受取の場合に限って、年金受取総額を基本保険金額(一時払い保険料)で保証するということですが、これは当たり前の話です。
年金で15年間に分割して受け取る場合には、年利1.3%程度あれば先ほどの10年後に90%の保証があることと同義になります。

つまり、90%の保証金額を年1.3%程度で回しながら少しずつ支払えば最初の支払額100%に届くということです。

そろそろ結論です。

おそらく、このような商品を購入する人々は、金融商品に対する知識が乏しいのだと思いますが、この商品を1,000万円購入するぐらいであれば

a. 国債を776万購入する。(平成18年~19年の10年国債の金利は1.5%~2.0%)
10年後には1.5%の金利でも900万円にはなる。

b.保障がほしければ224万円の10年低減定期保険(月額2万円の収入保障イメージ)に入る。
たぶんコストは60歳加入10年間で7万円ぐらい

c.残り200万円ちょっとを資産運用。ポートフォリオを組んでも組まなくても自由
べつにこれがゼロになっても最低保証レベルはaで担保される。

これで、上記の商品で最低限保証しているレベルは確保できるし、自分のやりたいことがよっぽど明確になると思うんですけどね。
まあ、これだと上ブレする可能性も少ないですけど。

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